「1990年の少年」駄文の実験場

妄想の日々を文書化しブログに流し込む事にしました。例えるなら脳内のトイレです。

もしJR大阪駅を発着する電車が3対3の合コンをしたら

 
■電車たちの合コン

ある日、JR大阪駅を発着する電車同士で3対3の「合コン」をしようという話が持ち上がり、都合のついた6人の電車たちが高槻の車両基地に集合した。

以下、当日参加した女子3名、男子3名の電車たちのプロフィールである。

 

・環子(323系

 「大阪環状線」を走る女の子。女性専用車両は蛍光灯ではなく暖色灯にするなどこだわりがある。

・奈々(221系

 環状線経由、「大和路快速・奈良行き」の女の子。車両編成が短くて驚かれることもしばしば。

・空子(225系)

 環状線経由、「関空快速関西空港行き」の女の子。日根野で切り離しを行うので関空へ向かう人が間違えないように何度もアナウンスを欠かさない。気配り上手。


・新開(223系)

 JR神戸線、「新快速」の男の子。阪急阪神とまいにち顧客の取り合いをしている。JR神戸線のリーダー的存在。

・快戸(221系

 JR神戸線、「快速」の男の子。西明石より西はのんびりと走っている。

・停太(321系

 JR神戸線、「普通」の男の子。動きは遅いが、辛抱強い。常に新快速の動きを気にしている。

 

 

■2020年 1月某日 高槻車両基地にて

 

環子 : 今日はとことん飲むぞ~! 終電まで飲むぞ~! ってウチら電車やん!

奈々 : あはは、ウケる。ウチらは終電を気にしなくてもいいよね。

新開 : みんな、久しぶり。

空子 : お久しぶりです。皆さん。

快戸 : 久しぶりやな! 今日はみんなどうやって来たん? 阪急か?

奈々 : あはは、やめてくださいよ。快戸さん!

新開 : みんな。変わりないかい。

環子 : っていうかちょっといい? 最近の神戸線、遅延多くない?

新開 : あはは、ごめんね。確かに止まることが多いかもね。

環子 : ウチらの方が全然止まらねーし。っていうか電車止まったら家に帰れなくない?

停太 : お客様を安全に目的地にご案内するためには、すぐさま再開できないときもあるんだよ。

環子 : いやいやいや、単純にシステムの不具合でしょ。どこかで止まったら全部止まるじゃん。

新開 : 確かに、最近は車両の制御をコンピュータにまかせることが多いよね。

環子 : 変にコンピュータに任せるからじゃないの? 熟練の鉄道マンが現場で判断できないの?

停太 : 属人化された業務の標準化、働き方改革、安全性の確保、とりまく色んな状況があるんだよ。

環子 : でも納得できないわ~。ウチらは台風でも動き続けるもんね。ね、奈々?

奈々 : えっと、そうね、あはは。(今日、阪和ちゃんが来てなくて良かったわ・・・)

空子 : えーと…、みなさ~ん、せっかくなので乾杯でもしませんか?

新開 : それではみなさん、令和時代のこれからのアーバンネットワークのさらなる発展を…

快戸 : 固いわ~、どうでもええやん。はい、かんぱ~い!

全員 : かんぱ~い!

快戸 : ゴクゴク、ぷは~。やっぱ大阪人はサントリーに限るよなぁ。

奈々 : (ひぇぇ、こんなこと思うのは勝手だけど、口に出す人はめんどくさいなぁ…)

空子 : ひっさしぶりに、何かゲームしましょうよ~。

新開 : よし、それじゃあ山手線ゲームでもしようか。

環子 : うっわ最悪、ウチら大阪環状線やで? 山手線って、空気読めてなくない? よっしゃやろか~!

快戸 : やるんかい!

空子古今東西~、って前もやったわよね、前回は「乗降者数が一日あたり10万人以上の駅」で盛り上がったわ。

停太 : じゃあ、こんなのはどうかな「兵庫県ICカード非対応の駅」とか。

環子 : うっわ、出た。これ、どこに盛り上がる要素があるねん!

新開 : はっはっは、これなら篠山口から城崎温泉までの駅を順番に言うだけでもいいよなぁ。

環子 : いやいや、逆に福知山から舞鶴方面に乗り換えて、そっち行くんか~い! みたいな?

奈々 : きゃはは、環子、絶好調ね。

停太 : ちょっと面白くないテーマだったかな?

快戸 : いや、ええねん、停太。ICカードは切符と違い、どこで降りるかは事前には決まってないんや。

停太 : ………?

環子 : ………、だから何なん?

快戸 : 知らん。

環子 : んなアホな。

奈々 : まぁまぁ。何か別のゲームでもしましょうか。(快戸さんもう酔ってる?)

新開 : よし! じゃあ王様ゲーム

環子 : オッケ~。いえ~い!

一同 : 王様、だーれだ!

快戸 : よっしゃ。俺が王やな。じゃあ、1番が3番に車両連結してみよっか!

一同 : (連結………?!)

空子 : ああ、私が3番か~。1番の人はダレ~?

一同 : ………

環子 : わたしが3番~! 空子、ウチと連結して~! ウチを関空まで連れてって~! 日根野で切り離さんとってな~!

空子 : うんうん。わかった、環子、わかったよ。私は快速だからしっかりついてくるのよ!

環子 : ありがとう~。ウチ、りんくうタウンで下車してアウトレットに行くんやから~!

一同 : あははは!

停太 : (このスピード感について行けない…、これが快速か…)

快戸 : よっしゃ、王様交代や。

一同 : 王様、だーれだ!

停太 : ああ、僕が王様でした………。

快戸 : おお、停太か。ガツンと言うたれや。

停太 : えーと。3番が4番のパンタグラフを上げ下げする………?。

快戸 : おぉ、おもろいやん。

空子 : えっと、私が3番でした?

新開 : 私が4番ですが?

空子 : パンタ下げさせていただきますね。

新開 : これで私はどうしたら…。尼崎から東西線に入れとでもいうのか…?

停太 : ぷっ(笑)

一同 : ………。

空子 : パンタ上げさせていただきますね。

新開 : 当列車、西明石行きです!

空子 : パンタ下げさせていただきますね。

新開東西線松井山手行きです!

空子 : 上げます。

新開西明石行きです!

空子 : 下げます。

新開松井山手行きです!

環子 : ちょっと待って。空子も、もうええわ。何やねん、パンタ上げ下げって。

新開 : あははは、ちょっと楽しくなってしまいました。

奈々 : (この人も酔ってる…!)

環子 : 空子、パンツ上げ下げみたいな言い方になってたよ?

空子 : えっ!? ちょっと環ちゃん、やめなさいって!

新開 : 突然ですが空子さん、今度一緒に新大阪へ行きませんか。新幹線を見に行きましょう。

奈々 : (完全に酔ってる…!)

空子 : うん、全然いいんだけど、新大阪に同時に並んで停車できる場所があったかしら?

奈々 : (えっ、そういう問題?)

新開 : だめかな~。じゃ、空子ちゃん、隣に座ってもいい?

奈々 : (グイグイ来る…!)

空子 : ただいまの時間は補助イスをお使いになれませ~ん。ご理解下さ~い!

新開 : あ~、空子さんにフられた~。ちょっと湖西線入ってくる!

快戸 : 始発までには帰ってくるんやで~

一同 : あははは!

奈々 : みなさ~ん。明日も早いんでしょう?

停太 : 僕は、4時45分発から。

環子 : 私、4時55分からや。

快戸 : そろそろ終わるかぁ。

新開 : え~、2019年おおさか東線開業に続き、今後も重要イベントが盛りだくさんでございます。

快戸 : なんやねん。おまえがそれを言う立場なんか。

停太 : まぁまぁ。

新開北梅田駅の開業にともない、新大阪から難波への直通運転が可能になります。

空子 : 忙しくなりますよねぇ。

新開夢洲への延伸、2025年は大阪万博、これからますます大阪が盛り上がりますよ!

環子 : よっ、日本一! いや、西日本一! かな?

一同 : あははは!

快戸 : ほな、みんな、気ぃ付けて帰りや。

環子 : 奈々ちゃん酔ってない? ウチら電車が酔ってたらあかんで。

奈々 : うんうん、私は大丈夫よ。ありがとう。

空子 : じゃあ、いつもの「たかじん締め」で締めましょうか。

一同 : はーい!

一同 : せーのっ! 「 やっぱ好っきゃね~ん!」

 

 

おわりの言葉

このお話は、私たちが知ることのない電車たちの私生活をのぞいてみたものです。

今日もどこかで電車たちの楽しい宴が繰り広げられていいるかもしれませんね。

それではまた、いつかJR大阪駅で彼らを見かけたときは手を振ってあげてください。

(※このお話はフィクションです。)